HOME | ||||||||||||
展覧会概要 | ||||||||||||
作家紹介 | ||||||||||||
2000年後の龍の行方 柴川敏之 今から約2000年前、イタリアのポンペイの町は火山の噴火によって一瞬にしてその姿を消した。私たちが生活している現代社会も同様の危機にさらされている。さらに現代は地震や洪水等の自然災害だけでなく人的な災害ともいえる戦争やテロ、核やミサイル問題等も抱えている。そう考えると一見平和に見える私たちの生活はポンペイの時代よりもさらに危険な時代に生きているといえる。 2000年後の41世紀に、私たちの現代社会がメ化石モとして発掘されたとしたら、一体どうなっているのだろうか。私は近年、「2000年後から見た現代社会」をテーマに制作活動をしている。 例えば、携帯電話やパソコンなど現代の様々な物が埋まり化石化したレリーフ状の作品を制作し、約5000個の耐火煉瓦と組み合わせて美術館全体を「2000年後の発掘現場」に見立てた展示をしている。また、その表面に和紙や布をかぶせローラーとインクで写し取った私独自の拓本作品もあわせて制作している。(7年前、大きな拓本をとるための素材を探している時、偶然探し当てたのが尾道の帆布であった。当時相撲の稽古まわしは帆布でできていたらしい。) この度、縁あって尾道で龍をテーマに制作することになった。私は映画「ちゃんこ」のモデルとなった広島大学相撲部の創部者で副監督をしており、学生の頃から尾道は毎年一度、合宿で訪れる場所でもある。千光寺から展望台へ向かうあの坂道を私が土台となり部員が押し上げる稽古はかなりきついが、頂上へ着いた時の達成感は何ものにもかえがたい経験である。毎年ここに来ると、この道の大きな流れが龍に見え、ウロコ状の階段はまさに龍の背中を歩いているように感じていた。 今回はこの約1キロの道のりを「2000年後の龍」に見立てる。国道2号線から千光寺道を通り展望台への階段全てに幅90センチの帆布を敷き詰め、独自の拓本技法によりローラーとインクで道の表情を刷りとっていく。スタッフとワークショップ参加者で現場にある様々な表情を刷り取りながら、展望台へと登っていく予定だ。途中のハプニングや道中の風景、人の動き、天候までも取込みながら全長約1kmの巨大拓本を完成させていく。それはまるで龍が、色々なものを食べたり飲み込みながら、階段を登っていくようで、この街に刻まれている歴史や現在の姿を刷り取りながら、この場所の過去や未来に思いを馳せてみたい。 最後に、刷り取られた巨大拓本は尾道市商店街に展示し、長い帯状の帆布は長い体をうねらせる龍さながらにアーケードの上方に出現する。 また、プレワークショップとして小学校等へ出向き、子どもたちとともに現代の身近な物を拓本にとった「帆布のぼり」を2000本制作し、「2000年後のタツノオトシゴ」として尾道の町中に展示する。龍の子どものようなタツノオトシゴを、実際に人間の子どもたちが制作し、自分が制作したのぼりを探すことで尾道の町の姿を再発見する機会になればと思う。また、会期中、尾道名物のメ晩寄り(ばんより)で魚を売るために使われる手押し車をイメージしたワークショップワゴン3台が街に出没し、通りがかりの子どもたちや観光客を巻き込んで身近な物や街の看板等を探して帆布に拓本をして行く予定だ。 龍は過去や現在で語られることが多い。そもそも龍は架空の生き物であり、実際に見ることはできない。龍という概念は、人の心の中に存在し、人類が作り上げたものである。私にとっての龍は過去・現在・未来を行き来する生き物で、2000年前も現代も2000年後も生きる存在である。大昔から伝えられてきた龍は人類の歴史そのものでもある。では、2000年後に龍は存在するのか。2000年後に龍が存在するということは人類が存在することを意味しその行方は、今を生きる私たちの手にかかっているといえる。(しばかわとしゆき/美術作家) 作家略歴 1966/アルベルト・ジャコメッティの命日 (1966.1.11) に大阪府で生まれる 1991/ 広島大学大学院 修了 1997/文部省在外研究員としてイタリアに滞在(ミラノ国立ブレラ美術学校) 2002/文部科学省科学研究費補助金若手研究(B)にてベルリン・ロンドン等を調査 2006/エネルギア美術賞受賞/財団法人エネルギア文化・スポーツ財団 個展 (selected) 1995/レスポワール展/銀座スルガ台画廊(東京) 1999/美術の時間 vol.6 “41世紀からのメッセージ”/デビットホール(岡山) 2001/今日の作家シリーズ“PLANET CIRCLE”/大阪府立現代美術センター(大阪) 2003/2000年後の冒険ミュージアム“川に埋もれた伝説の町〜草戸千軒”と“現代の美術”展/広島県立歴史博物館(広島) 2004/“PLANET MUSEUM / 0NE ROOM”/夢創館(神戸) 2004/アート・ネットワーク“PLANET MUSEUM OF ART / 0NE ROOM”/ふくやま美術館(広島) 2005/未来美術館へ行こう!“PLANET MUSEUM OF ART / TWO ROOMS”/奈義町現代美術館(岡山) 2006/APS企画シリーズ“a piece of work” #07 柴川敏之展“PLANET PIECES” /a piece of work APS(東京), 巷房階段下(東京), 奥野ビル屋上階段(東京) グループ展 (selected) 2000/龍の國・尾道 〜その象徴と造形/尾道市立美術館(広島) 2000/ふれる・感じる・かたち展 〜アートとおはなし/海田町ふるさと館(広島) 2002/ヒロシマアートドキュメント2002/旧日本銀行広島支店(広島) 2005/VOCA展 2005「現代美術の展望 ― 新しい平面の作家たち」/上野の森美術館(東京) 2005/ARTOM60 現代美術展 被爆60年に向けて/旧日本銀行広島支店(広島) 2006/現代の造形 - Life & Art -「酔いのかたち」/東広島市立美術館(広島) 2006/さわって楽しむ現代美術展/浜田市世界こども美術館(島根) 2006/印象派から広がる美術の世界/浜田市世界こども美術館(島根) 2006/TAMA VIVANT 2006/多摩美術大学(東京), みなとみらい駅(横浜) ワークショップ (selected) 2003/現代を版画にしよう! ― 棟方志功に挑戦 /ひろしま美術館(広島) *生誕100年記念 棟方志功展 2003/現代を版画にしよう! ― ミロに挑戦 /成羽町美術館(岡山) *版画の魅力 7人の巨匠展 〜ゴヤからミロまで 2005/2000年後の風景をつくろう !! /丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川) *風景遊歩 sight-cruising 2005/2000年後の学校を紙にうつそう ! /東京都北区西ヶ原小学校(東京) *ニシガハラズコウスクール チャレンジプログラム(平成17年度文部科学省地域子ども教室推進事業) 2006/2000年後☆現代を紙にうつそう ! /浜田市世界こども美術館(島根) *さわって楽しむ現代美術展 2006/龍の道 - 2000年後の龍の行方/千光寺道および尾道市商店街、尾道市内小学校(広島) *HAMP Workshop 2006 2006/2000年後へタイムスリップ〜現代とジョウモンを紙にうつそう!/辰野美術館(長野) *アドベンチャー・スクール2006(平成18年度子どもゆめ基金助成事業) その他 (selected) 2005/「2000年後の冒険ミュージアム」記録集を発行(助成:文部科学省科学研究費補助金) 2006/講演「体験☆美術館でのワークショップ」/ふくやま美術館(広島) *平成17年度広島県美術館ネットワーク研修会 2006/公開制作「ようこそ! 41世紀の画材屋さん」/浜田市世界こども美術館(島根) *さわって楽しむ現代美術展 2006/講座「美術が苦手な人のための美術入門」/放送大学(広島) 2006/映画「ちゃんこ」:脚本・美術協力、題字デザイン他/全国ロードショー(新宿トーア他) *制作:ドリームワン 柴川敏之関連サイト |
||||||||||||
帆布とは | ||||||||||||
プレワークショップ | ||||||||||||
ワークショップ | ||||||||||||
関連企画 | ||||||||||||
日記 | ||||||||||||
スケジュール | ||||||||||||
展示の様子 | ||||||||||||
プレス関係 | ||||||||||||
主催他 | ||||||||||||
交通アクセス | ||||||||||||
お問い合わせ | ||||||||||||
Copyright(c)尾道帆布展実行委員会 | ||||||||||||